組合員への不当逮捕に抗議する(声明)
本件不当逮捕は、がくろう神奈川が組合員勤務の横浜市立中学校長と2009年3月に行った「校長交渉」=労使交渉に際しての、当時いずれも組合員であった4人の行為を被疑事実としている。
しかしまず、この交渉は事前にがくろう神奈川より申し入れ、校長も受諾した上で行われたものである。一部報道では県警公安3課の説明として、「地方公務員 法は人事評価についての交渉は認めておらず」などと交渉そのものが違法であったかのように報じているが、そのような明文規定はなく、まして交渉することそ のものを違法とする法解釈などありはしない。何より本件は当事者同士が、人事評価という議題も労使交渉であるという位置づけも事前に承知した上で行ったも のであり、まったく適法な労使交渉であった。
そして労使交渉の席上、両者の主張が平行線をたどれば厳しい議論になるのは当然であるし、使用者側が一方的に打ち切ろうとすれば抗議し、要求が受け入れら れなければ相手側の問題点を指摘し、あるいは今後の更なる取り組みの強化を通告して追及するのも、労使交渉である以上当然のことである。違法行為を予告し たわけでもない交渉における言動を「強要未遂」などと言いなすのは、民間労組が交渉でスト権行使を示唆するのを「強要未遂」と言うのと同じくらい、通用し えない話である。
そもそもの発端は、組合員に対する人事評価であった。一部報道では「人事評価を上げるよう要求」とあり、あたかも通常を上回る高評価を不当に得ようとした かのような印象を受けるかもしれないが、事実はまったく異なる。そもそもがくろう神奈川は、人事評価制度そのものに強く反対しており、制度撤廃を求め続け ている。その上で現場においては、制度上どうしても評価をせざるをえないなら全て標準にあたるB評価を、と申し入れており、SやAなどの高評価を求めるな どあり得ない。
その上で本件はどういった交渉であったのか。当該中学校勤務の組合員はこの年度に新規採用され、初任ながら事務職員単数校に配属された。県内でもっとも多 忙とされる横浜で、右も左もわからない1年目からたったひとりの事務職員として配属された上、本来頼りになるべき管理職=人事評価制度上の「観察指導者 (校長)」も「助言指導者(副校長)」も事務職員の仕事を知らず、指導も助言もありはしない。この組合員はそんな環境の中でも尽力し、1年間事務職員業務 を滞りなく勤めた。しかし人事評価における校長評価は、標準がB評価であるところ、7ヵ所中5ヵ所にC評価をつけるものであった。C評価を受ける者は県内 全体で1%にも満たず、著しく低い評価であった。
当該校長は、人事評価制度上本来果たすべきとされている「指導」や「助言」もせず、また勤続年数に基づく評価を行ってはならないとされているにもかかわら ず「初任者はC評価から始まる」といった重大な誤解ないしはデタラメに基づいて、著しい低評価を下した。C評価を下した場合に記入すべき「指導・助言内 容」も記入できていない。これを不当評価と言わずしてどう言おう。後の話であるが、この評価については横浜市教委も「行き過ぎ」と認め、不充分ながら一部 を訂正させたほどである。
以上の経緯・理由を踏まえて、がくろう神奈川はC評価の撤回とB評価への修正を要求した。私たちはこの要求を、組合員への不当極まる評価を撤回させ、組合員の人権を守り名誉を回復するための正当なものであったと信じる。
以上の通り本件刑事弾圧は、手続き的にも道義的にもまったく正当な労働組合活動に対する、警察の不当介入・不当弾圧そのものである。がくろう神奈川は、逮 捕・勾留を行い、あるいは請求し、あるいは許可した県警・検察・裁判所に強く抗議し、4人の即時釈放を要求する。加えて、逮捕された現職組合員の任命権者 である横浜市教委と相模原市教委には、今回の逮捕・勾留を理由としたいかなる処分や不利益取扱いも行わないよう要求する。
最後に、私たちがくろう神奈川は今回の不当な刑事弾圧に屈することなく、逮捕された4人の救援活動とともに、組合活動を決然と展開して行くことを表明する。みなさんのご支援ご注目をお願いします。
2011年10月27日
学校事務職員労働組合神奈川